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アルパカのクク

アルパカのクク 名古屋市立天白中学校 2年 代田栞那 主人公が初めて「一人で」「見知らぬ場所」て行き、そこから戻るまでの物語。こうした主人公の成長を描くタイプの物語は、ついついおおげさな表現を使って、盛り上げようとしたくなってしまうものなのですが、この作品は、むしろ淡々とユーモラスに描けているところが個性的で、思わず続きが知りたくなる、楽しい仕上がりになったと思います。 (奥山景布子) 朗読:山下晃正

流星群の降る夜に

流星群の降る夜に 名古屋市立日比津中学校 1年 黒川琴子 淡い恋の兆し、いかにも青春の一コマという季節の様子を、レモン味のアイスや風鈴、花火夏の風物をうまくちりばめたきれいな情景描写の中に描いていて、微笑ましいです。いつも見慣れていたもののよさ、美しさに、別の場所から来た人に気づかされる。これ自体はよくあるテーマではありますが、しっとり丁寧に描かれているのが、とても好感が持てます。 (奥山景布子) 朗読:藤本伸江 (劇団うりんこ)

最幸の仲間達

最幸の仲間達 名古屋市立大高中学校 1年 船橋美羽 事故で被害を受けた人の恨みや悲しみ、加害者を許そうという感情、障害を持った人へのまなざしに含まれる安易な同情や「哀れみ」の厭な感じなど、繊細な心理を描こうという意欲的な試みが成功している作品です。そうした環境に置かれた人だからこそ感じる幸せも丁寧に描かれています。辛い状況にあっても自分を信じ、仲間を信じる気持ちがしっかりと描かれていました。  (奥山景布子) 朗読:小嶋彩子

モモ

モモ 桜丘学園桜丘中学校 3年 佐野百恵 「死」を目の前にしての命の選択。重すぎる決断をした女の子を描いた作品。主人公が自分の母よりも他人である老夫婦を優先したところのリアリティには評価が分かれるかもしれませんが、自己犠牲的な行為がもたらす痛みとのちのちの癒やしを、意欲的に書いていると思いました。物語の最初から最後までドラマチックで、高い構成力と文章力を感じさせる作品でもありました。 (奥山景布子) 朗読:竹内 純

声と顔

声と顔 名古屋市立長良中学校 2年 長谷川千紘 障害を持つ3人が、お互いに補い合っていく姿が、押しつけがましくない友情として描かれていてとても良い作品です。冒頭の四行が読む人をどきっとさせる、あるいは興味を惹く効果を持っているし、しかも、人物の一人、桜の障害の謎は、物語を最後まで引っ張っていて、構成力が見事です。また「柵」と言う言葉に込められた意味が深く、考えさせられました。人物名の霞、吉乃、桜と合わせて、古語の美しさが響く名付けも魅力的です。 (奥山景布子) 朗読:杉野実奈 (アウルロード)  

冷蔵庫戦国時代

冷蔵庫戦国時代 名古屋市立星ヶ丘小学校 3年 西井陽紀 一日中閉まっている冷蔵庫の中でそんな戦いが繰り広げられていたなんて、みんながあっと驚く世界観です。肉肉軍と野菜軍の登場シーンと強そうな必殺技が次々と紹介されていくのに、何ひとつ効かずに負けてしまう。そんなギャップがとても面白いです。圧倒的に強いビール軍もあっさり負けてしまうのもいいですね。 (ながおたくま) 朗読:岡田展寛

ざんねんな怪盗

ざんねんな怪盗 名古屋市立神の倉小学校 5年 柴垣ちなみ 「社会の大変さを勉強してきて」の結果が怪盗になることだなんて、ご両親はびっくりでしょうね。怪盗になったばかりなのに、いとも簡単に宝石を盗んでみせる天才児。でもカード投げが絶望的にセンスがないギャップがいい魅力です。もっとステキな怪盗になるための努力を惜しまない姿勢はいいですね。泥棒はダメですけど。 (ながおたくま) 朗読:まつもとのどか (試験管ベビー)

幸せな選択

幸せな選択 春日井市立白山小学校 6年 奥田虹香 最後にゾクっとする展開が、きっと子どもから大人に向けられた本音ですね。良かれと思って言った言葉が、必ずしも子どものためではない、というのが大人にとって怖いところです。自分の気持ちをわかってくれない両親への仕返しが、冷静に描かれているのがまたゾクっとしますね。最後にいなくなってしまうのは両親なのか、家族全員なのか気になるところです。 (ながおたくま) 朗読:伊藤千紗

ママと私のわかりっこ

ママと私のわかりっこ 春日井市立篠木小学校 3年 藤田美良 読み終わった後はとても楽しく、優しい気持ちになれました。私とママのやりとりから、仲の良さや大人びた私が伝わってきます。体が入れ替わった理由や、運転できる理由、会社に迷わず着いたり仕事もきちんとこなせるのはなんで?と思いますが、それらを吹き飛ばしてしまうテンポと面白さがいいですね。 (ながおたくま) 朗読:中友真矢 (劇団アルクシアター)

友達のしるし

友達のしるし 名古屋市立守山小学校 5年 青山みのり 主人公とユキちゃんの気持ちのすれ違いがとても丁寧に書かれています。時間の経過や季節の表現と心の揺れ動きを重ねる表現がきれいです。離れ離れになってしまった2人を繋ぐタイムカプセルがより2人の絆を深める。ケンカをした事で、この2人は大人になってもずっと仲良しでいるんだろうなと思います。心の交流がとても瑞々しく美しいと思います。きちんと謝る、謝ろうとする姿が見てて嬉しいです。 (ながおたくま) 朗読:栗本 彩 (劇団うりんこ)