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模倣された森で出会った君

ベリーの森 名古屋市立日比津中学校 2年 黒川 琴子 今の時代にぴったりのすばらしい作品。動物を守るべきか、人間が安全にくらすためには動物を傷つけてもしかたないといえるのか、正義とはなにか?という重いテーマでありながら、森の自然描写も美しく、さわやかな風がふいてくるような作品になっています。その上、母と娘の関係の描写もうまいし、ネットでの匿名の非難の問題も絡めて、現代のいろいろな問題点を浮き彫りにした意欲的な時代性のある作品です。 (藤 真知子)

砂時計の森

金棒泥棒 名古屋市立長良中学校 1年 髙倉 紘希 最初の数行で読者の興味をつかんで離さない奇想天外な設定です。タイトルもですが、おじいさんが金棒を泥棒してしまうという新鮮で斬新なはじまりでありながら、淡々とユーモラスに描いていくので、おもわず引き込まれて読んでしまいます。おじいさんや鬼の心情がよく伝わるので、面白さが格別です。べつのお話だという「桃太郎」も独自の視点で書かれた作品をぜひ読んでみたいと思わせました。 (藤 真知子)

□と天気と〇と気分

マイクロムーン 名古屋市立長良中学校 2年 坪川 凛太 情景描写がすばらしく、映画を見たような気分になりました。宇宙船の絵であふれた子供部屋で月へのあこがれを、暗い何もない部屋で夢を失ったきもちを描き、その暗い場面から一転、月に行きたいという夢を思い出した瞬間の夜空、そして、夢が心からあふれ出て光り輝く宇宙にときはなたれる瞬間、どの場面も生き生きと絵のイメージが浮かび、特に最後はまぶしいほどに輝く幻想的な描写で、感動的でした。 (藤 真知子)

物欲センサー

花言葉 名古屋市立長良中学校 1年 谷 理依音 二人の女の子の心情が細やかに描かれている、やさしく美しい癒しの物語で、心をうたれました。友達を亡くした二人の女の子のそれぞれの悲しみやつらさを、乗り越えて生きていこうとする姿が何度読んでも感動的です。悲しみやつらさを癒すのは、同情し慰められることではなく、支えあうことによって乗り越えていくことだという力強さがあり、花も女の子たちを花言葉で支えるというのが印象的でした。 (藤 真知子)

タイをめがけて

カメラを抱えた 岡崎市立福岡中学校 3年 仲 陽菜子 写真に夢中になる気持ちが生き生きと描かれていて、すばらしい青春ドラマとなっています。ダンスの練習に夢中になるみんなを白けて見ていた主人公が、その写真をとるうちに、よりよいものをとりたいと夢中になっていくのですが、読者まで夢中になる楽しさを満喫できる作品です。構成も主人公の心理描写も巧みで、心の成長もよく伝わってきます。 (藤 真知子)

素敵な誕生日

素敵な誕生日 名古屋市立松栄小学校 5年 村田 晴香 忙しくて誕生日を祝ってくれないお父さんとお母さんとケンカして家出を決意する双子の姉妹。夜にこっそり抜け出してくらい街を歩く二人が出会ったのは、まさかの人食い宇宙人。怖くて真っ先に逃げた先が自分の家という素敵でユーモアのあるお話です。「親とケンカする」という日常を飛び出してSFになる展開の仕方がとても興味を引きました。 (ながおたくま)

おなら人間

おなら人間 菰野町立鵜川原小学校 5年 倉谷 佐織 ある日、誰かのおならから生まれた三つ子のおならの女の子。そしておならが人間になるために旅をする、ものすごい設定です。「人間になってどうして臭いことがダメなのか聞いてみたい」というおならならではの疑問を解決しようと歩き出します。お話も面白いのですが、最も気になるのはおなら女の子の姿です。おならが歩 くってどんな絵になるのだろうと、何度も考えましたができませんでした。笑 (ながおたくま)

chatGPTのチャッピィ

chatGPTのチャッピィ 名古屋市立田代小学校 4年 村田 誠 AIが主人公だなんて!とびっくりしましたが、読んでみるととても人間臭いところが満載でした。忙しくて休む暇もない、休みたいのに休めないなんて人間と同じ。その上「聞いてばかりで自分で考えないのはよくない」と人間の心配までしてしまうAI。ぼくたち人間の将来を心配してくれるAIがとても愛らしくて面白いです。まるでちっちゃな家庭教師みたい。 (ながおたくま)

ぼくたちのリンゴがうばわれた!

ぼくたちのリンゴがうばわれた! 名古屋市立東志賀小学校 3年 岡 昂汰 ひかるくんとげんたくんといっちゃんが、またもやってきました! 奪われたリンゴを取り返すため、それぞれ特技を活かしてドラゴンをやっつける。スピーディーな展開なのにぎっしりと中身が詰まったお話しですね。三人がとてもユーモラスに描かれていてとても面白いです。昨年に引き続きの受賞ですが、語りのうまさが光っていると思います。 (ながおたくま)

僕と太郎の絆

僕と太郎の絆 桑名市立在良小学校 6年 粂内 佐奈子 本が本棚を飛び出し、大切にしてくれる人を探しに出かけるなんて、とても面白い視点です。きっと本人もモノを大切にしているのでしょうね。本が街を歩き回り、自分らしさを一生懸命考える姿がとても健気で美しいです。人間も本も自分のかけがえのないモノを探すには一苦労しますね。ぼくも本が大好きなので太郎くんのように大事にしようと思います。本という主人公ですが、とても面白く、よくまとまっています。 (ながおたくま)