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メメのブランコ

名古屋市立八事東小学校 2年
藤本千尋
主人公の女の子のメメの気持ちの変化とブランコのふしぎな出来事をシンクロして描くというすばらしい作品です。なんといってもおもしろいのは、ブランコをこいで空高くいったところでブランコがピタッととまってしまうこと。こんな非常事態で降りられなくなったメメを助けようとしたパパにママに弟……。最後はハッピーエンドでうまくいきますが、姉弟のきずなや家族の暖かさを感じます。
(藤 真知子)
 いやなことがあるといつも、メメはにわのブランコにのります。大きくこいで、くつを遠くにとばすと、いやな気持ちもいっしょにとんでいってくれるからです。
 今日もメメはブランコにきました。弟のピピが、大じなおもちゃをこわしたからです。
「わざとじゃないんでしょ。わかってる。」
メメは右のくつをとばしました。でもすっきりしません。おかしいな。メメはいつもより大きくブランコをこいで、左のくつもとばしました。でもダメです。メメははらが立っ
て、やけくそにブランコをこぎました。体をシャチホコみたいにそらせて、しん長よりも、木よりも高くこいでいたら、ふしぎなことがおきました。一回てんしそうになるくらいまでこいだところで、ブランコがピタッと止まったのです。手をはなしても地面にはおちません。足はぷらんと空にたれているので、このままおりたら、きっと空にまっさかさまです。
「パパ!ママ!たすけてー!」
メメの声で、パパたちがとびだしてきました。
「すぐたすけるぞ!」
パパはブランコにのぼって、メメの体にとびつきました。でも地面からはなれたせいで、パパも空におちそうです。ママもあわててパパをつかみましたが、力がたりません。
「だめだ!おちる!」
3人があきらめかけたとき、ピピがママにとびついて、メメに大きな声で言いました。
「おもちゃこわしてごめんなさい!」
すると、ずっとびくともしなかったブランコが、とつぜん大きくゆれて、ぐるんと地面にもどってきました。
「た、たすかった。」
4人はぎゅーっとだきあいました。メメのいやな気持ちは、すっかりきえていました。
「もうひとりでブランコにはのらない。」
「それがいい。ぼくとあそぼう。」
メメは、ピピがひろってきてくれたくつをはいて、いっしょににこにこ家にもどりました。