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五本の薔薇に込められた思い

名古屋市立桜丘中学校 2年
水野 凪紗
むずかしい創作方法そうさくほうほうんでいて、評価ひょうかしたいです。視点人物してんじんぶつだれが「かた」となっている文章ぶんしょうなのか)が、部分的ぶぶんてきわっていることを、読者どくしゃにわかりやすくつたえるようにこころがけてみると、こうとする世界せかい自分じぶんにとってもはっきりしてきて、より作品さくひんになるとおもいます。
 美しい夕日、波の音、ほんのりと感じる潮の味、橋の錆びた匂い、足の裏の冷たく硬い感触。五感全てが訴えてくる。それさえも辛く、苦しい。『さようなら。』そうして、橋から飛び降りる。はずだった。なのに私の体は後ろへ倒れた。いや、引かれた。「ゔっ。」という声がして、私の下を見ると、声の主であろう娘がいた。
 気が付くと、目の前には、見知らぬ天井があった。少し痛む体を無理やり起こし、周りを見渡すと、一人の女性がいた。すると、あちらも気付いたようで、近づいてきた。始めは、まさかと思ったが、だんだんと近づいてくるにつれ、はっきりと分かった。「花咲ひいろさん。」彼女を知らないという人はいないと言われるくらい有名な女優さんだ。そんな人がなぜ、それにここはどこなのか。そんなことを聞いていくと、最後は他愛もない話をしていた。
 あの娘、蒼に助けられ、話し、そんな時間がなぜだか楽しかった。あんなにも、辛く、苦しいと思っていた、生きるということなのに。だからなのか、生にしがみついていた。そんな矢先、ディレクターが実家の事情で、仕事を辞めてしまった。そのため、今日は新しいディレクターとの初めての顔合わせだ。しばらくして、部屋に入ってきたのは、まさかと思っていたが、蒼だった。「お久し振りですね。改めて、真堂蒼です。これからよろしくお願いいたします。」
 彼女は本当にすごい。この約一ヵ月で改めて実感した。ドラマの中でも、ずば抜けた才能を放っている。だが、彼女だけでなく、周りの者も、その世界へと連れてゆく。まるで実際にその出来事が行われているかの様に。
 あの娘といると、なぜだか楽しい。元気をもらえる気がする。この時が、まだ終わらないでほしい。そう思っているとふいに「ひいろさん。」と呼ばれた。家族のように愛しい、この娘のそばにいたい。ただ、そう思う。
 ひいろさんが、海外映画の主役に抜擢された。ただ、あまり驚きはしなかった。それほどまでに、彼女はすごいから。でも、映画の撮影となると大忙しだ。そのため、私は全力を尽くした。撮影するにあたり、ファンからの応援メッセージなどが多く届いた。そんな中、撮影は順調に進み、なんの問題もなく、全てが終了した。
 やっとのことで終わった映画撮影。蒼とこの仕事ができてよかった。隣に座わる蒼を見て、そう思った。すると突然、機内アナウンスが流れた。飛行機の羽から煙が上がっているらしいのだ。地上では消防隊や救急隊の方々が万が一のため、配置している。そして、飛行機は着陸を試みる。が、失敗。私達は、荒れ狂う炎の中、出口へ向かった。その時、大きな音がして振り向くと、蒼のいるあたりの天井が崩れた。
 私はここで死ぬのか。そう思い、目を閉じる。それなのに『大丈夫。』という声がし、思わず目を開けると、そこには炎炎と咲き誇る薔薇に囲まれたひいろさんがいた。『今まで騙していてごめんなさい。でも、もう関係ないわね。』すると、とても苦しそうな顔で『私は、老いることのない魔女なの。』と言った。『蒼。魔女には掟があるの。だから、あなたの記憶を変える。そして、私は花咲ひいろとしての人生を終える。』その発言にただ、言葉が出てこない。わけが分からない。分かりたくもない。そんな思いが頭の中を巡る。すると『だから、これをあげる。』そう言って彼女は五本の薔薇を渡してきた。『五本の薔薇にはある意味があるの。それは』
 『あなたに出会えてよかった。』
 気がつくと私は、病室にいた。そして、そこには美しく咲き誇る、五本の薔薇が飾られていた。