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物欲センサー

名古屋市立長良中学校 2年
髙倉 紘希
 タイトルは現代的なのですが、読むと昔話や逸話的な魅力にあふれています。物語の展開が早くて、どうなるの? どうするの? という興味でどんどん読み進んでしまうのは、筋立てのおもしろさが読者をひきつけるからです。登場人物の気持ちを読者が納得できる上に、なんといっても、魅力的なのは物語を面白く魅力的に語っている物語構成で、すばらしいストーリーテラーです。
(藤 真知子)
 ある町のはずれの小さなビルに、売れていない占い師の兄弟が住んでいた。彼らは欲はたくさんあるがお金は無く、ボロボロなア
パートに住み節約をしながらお金がたくさんあったらな、お客さんがたくさん来たらな、と考え日々を過ごしていた。
 ある日のことだった。二人で話をしているとき、兄があることを思いつき、話しだした。
「これまで僕らは何かがほしい、何かになったらと欲を出していた。しかしそう欲を出している物事にかぎってその欲のとおりにならない気がする。これは偶然だろうか?」
兄の話を聞いた弟は、少し考えた後、こう答えた。
「いや、確かに言われてみればそうだ。まるでセンサーがあるかのように欲をだして失敗したことが何度もある。よし、これからはできるかぎり欲をださずに生活してみよう。」
その後も話し合い、彼らは欲をできるかぎりださないようにしながら生活をすることにした。壁に「禁欲」と書いた紙を貼り、このままだとまた欲がでてしまう、と思い物をほしがる性格を、今をポジティブにとらえるような性格にしようと努力した。するとお客さんが少しずつ来るようになり、お金もはいっていった。
 お客さんが来るようになり、二人は長らく行っていなかった占いを再開することにした。しかし兄弟はひさしぶりの占いだったため占いの腕は落ちており、始めはごまかすことができていたがだんだん危うい場面もでてきて焦った二人はまた、どうするか話しだした。
「どうしよう、お客さんが来るようになってきたから占いをやらないといけないよ。」
「だけどここ一年くらい占いをやっていな
かったから占いができなくなっているんだ。」
話している途中、何かいい案はないかと考えた弟の目に、壁の貼り紙が目に入り、ある案を思いついた。
「そうだ、お客さんの欲を聞いて運勢を占う物欲占いなんてどうだろう。お客さんがいま持っている欲を聞いて欲が大きければ運が悪いと言う、小さければその逆だ。これならこれまでの占いのかわりになると思う。」
その弟の意見に兄も賛成をし、次の日から物欲占いを始めた。物欲占いは少しずつ人気がでていき、半年後には行列ができるほどに
なっていた。
 たくさんのお金に浮かれた兄弟は、町のはずれから中央に家と店を移したり、たくさんの人を雇ったりした。しかし一ヵ月後には店の場所を移したことで来られなくなるお客さんがいたり、従業員とのトラブルで評判が落ちたりして人気はなくなり、彼らの店は潰れることになってしまった。
 町の中央の家から元々住んでいたボロボロのアパートに戻ってきた二人は店が潰れた原因について話していた。
「店が潰れた原因を考えてみたんだが、物欲占いが成功したとき、もっとお金が欲しいと欲をだしたからだと思う。」
「僕もそうだと思う。あのときにあのまま町のはずれでお金を稼いでいればお金がいまもあったのに。」
 後悔した兄弟はこれからの人生で決して欲を出さずお金を稼ぎ続け、大金を手に入れた。彼らにお金を稼ぐために重要なことを聞くと必ず
「「欲をださないこと。」」と答えたそうだ。