ぽつん、ぽつん、と雨がふりはじめました。
かさをもたずに、家の近くをさんぽしていたみいちゃんは、
「いそいでかえらなきゃ。びしょぬれになっちゃう。」
とはしり出しました。
家につくと、みいちゃんはぬれた体をふきながら、まどをのぞきこみました。さーさーと雨がふっています。みいちゃんは、
「つまらないな。」
と言いました。すると、こんな声がしました。
「つまらなくないよ。いっしょにあそぼう。」
みいちゃんはおどろいて、声のする方を見ました。すると、ぴょんっとカエルがあらわれました。
「わたしはカエルのケケ。雨は楽しいよ。」
とカエルは言いました。
「え? なにが楽しいの?」
とみいちゃんが聞くと、ケケは、
「おにわに出てみて。きっと楽しいよ。」
と言いました。みいちゃんは長ぐつをはき、かさをさしました。外に出ると、ケケがくものすをゆびさして、こう言いました。
「ほら見て、くものすだよ。キラキラ光ってきれいなの。」
「ほんとだね。」
とみいちゃんが言うと、
「楽しいことはまだあるよ。耳をすまして。」
とケケは言いました。みいちゃんが耳をすますと、しとしとぽたぽた、ぴちゃっと音がしました。
「わあ、楽しい音だね。」
とみいちゃんが言うと、ケケはこう言ったのです。
「見て見て! 晴れたよ。にじも出た。」
みいちゃんが空を見ると、晴ればれとした青空が広がっていました。きれいなにじもかかっています。みいちゃんは、もう一ど空を見て、にっこりとわらいました。みいちゃんは、その日から雨がすきになったのでした。