わたしは小学校2年生。弟は年長さんで、5さいです。弟はいつもズボンのポケットに、いろんなものをつめこみます。
「つるつるの石、すべすべしているよ!」
「このシール、キラキラしているから、ぼくのだいすきなたからものなの!」
でも、そのままズボンをせんたくきに入れるから、ママはいつもぷんぷんしています。
「ズボンのポケットの中を見てから入れてって言っているでしょ!」
ある朝に、びっくりすることがおきました。
ママがせんたくがおわり、わたしはお手つだいでようふくをせんたくきの中からとり出すと、
「えーなにこれ?」
Tシャツに、石やシール、小さなミニカーが、にこにこえがおでならんでいたのです。絵がらができあがっていたのです。ママもせんたくものをほしながら、
「あれ?このTシャツもってたかしら?」
と、ふしぎな顔をしました。
そのとき、せんたくきの中から、コンコン、コンコンコンと音がしました。ママとわたしが中をのぞいてみると、なんとその中に、小さな「ポケットの家ぞく」がでてきたのです。
「こんにちは!。ぼくたち、ポケットにすんでいるおともだち。」
すべすべ石くんがとつぜんひかって、虫さんが羽をバタバタさせました。
「まいにちせんたくされているうちに、なかよしになって、家ぞくになったんだ~!」
ママはおどろいた声で言いました。
「あらまあ、なんてすてきなこと。」
それからというもの、弟は、わざとポケットにたからものを入れて、せんたくしてもらいます。
「きょうは、はっぱを入れたよ、あしたはおもちゃのでんしゃ。」
そしてせんたくのたびに、ふしぎなTシャツが、1まい1まいふえていくのでした。