月がとってもきれいに見える山の、ちょっと明るくてとても広いほらあなの中で、うさぎとこぐまときつねがなかよくくらしていました。星がキラキラかがやいて、月がまんまるのある日の夜、ほらあなの外からなきごえが聞こえてきました。なんだかさみしそうな声です。3びきは、ほらあなから顔を出して、なきごえのするほうを見ました。かぜがそよそよふいています。少しはなれたがけの上に、おおかみのかげが見えます。うさぎは「なかよくなりたいけどこわくていけない。」こぐまも、「ぼくも、なかよくなりたいけどこわくて行けない。たべられるかもしれないから。」と言いました。しかしきつねは、「ぼくは友だちになりたいから、ゆう気を出して会いに行く。友だちになってもらいたい。」と言いました。すると、うさぎたちは、「だったらついて行く、こわいけど。」と言いました。そして、3びきでおおかみの声がするほうへむかいました。小川からきこえてくる水の音がとってもすてきで見に行きたくなりましたが、おおかみに会うためにがんばってすすみました。
やっとたどりついたがけの上には、ひとりぼっちの小さなおおかみがいました。きつねは、「ねえ、どうしてさみしそうにないているの?」と聞きました。おおかみは答えました。「ぼくには友だちが少ないんだ。だから、月に、友だちになってくれない?といってたんだ。月からのへんじはわからないけどね。」おおかみは、とてもさみしそうに言いました。ふさふさのしっぽもなんだかしゅんとしています。きつねは言いました。「ぼくたちと友だちになろうよ。」するとおおかみは目をまんまるにかがやかせました。その目は今日の月よりもまんまるで、星たちよりもキラキラしていました。「いいの?ありがとう。」おおかみはよろこんでいいました。そしておおかみときつねとうさぎとこぐまはなかよくくらしました。みーんなとっても楽しそうです。