いやなことがあるといつも、メメはにわのブランコにのります。大きくこいで、くつを遠くにとばすと、いやな気持ちもいっしょにとんでいってくれるからです。
今日もメメはブランコにきました。弟のピピが、大じなおもちゃをこわしたからです。
「わざとじゃないんでしょ。わかってる。」
メメは右のくつをとばしました。でもすっきりしません。おかしいな。メメはいつもより大きくブランコをこいで、左のくつもとばしました。でもダメです。メメははらが立っ
て、やけくそにブランコをこぎました。体をシャチホコみたいにそらせて、しん長よりも、木よりも高くこいでいたら、ふしぎなことがおきました。一回てんしそうになるくらいまでこいだところで、ブランコがピタッと止まったのです。手をはなしても地面にはおちません。足はぷらんと空にたれているので、このままおりたら、きっと空にまっさかさまです。
「パパ!ママ!たすけてー!」
メメの声で、パパたちがとびだしてきました。
「すぐたすけるぞ!」
パパはブランコにのぼって、メメの体にとびつきました。でも地面からはなれたせいで、パパも空におちそうです。ママもあわててパパをつかみましたが、力がたりません。
「だめだ!おちる!」
3人があきらめかけたとき、ピピがママにとびついて、メメに大きな声で言いました。
「おもちゃこわしてごめんなさい!」
すると、ずっとびくともしなかったブランコが、とつぜん大きくゆれて、ぐるんと地面にもどってきました。
「た、たすかった。」
4人はぎゅーっとだきあいました。メメのいやな気持ちは、すっかりきえていました。
「もうひとりでブランコにはのらない。」
「それがいい。ぼくとあそぼう。」
メメは、ピピがひろってきてくれたくつをはいて、いっしょににこにこ家にもどりました。